もしも
わたしはあなたが大好きよ。
改めて言ったことはなかったのだけど。
あんまり当たり前で、恥ずかしくて。
あなたの指が大好きよ。
眠るときにいつも絡めてくる、節の目立つ長い指が大好き。
そんなに探らなくても、わたしはいつもここにいるのに。
あなたの髪が大好きよ。
キスするときにいつも零れてくる、亜麻色の長い髪が大好き。
絡め取ろうとしなくても、わたしはどこにも行ったりしない。
あなたの唇が大好きよ。
名前を呼ぶときに柔らかく動く、にじんだ色の唇が大好き。
一晩中確かめなくても、わたしは消えたりしないのよ。
あなたの温もりが大好きよ。
寒いときにいつも包んでくれる、あなたの匂いの温もりが大好き。
息ができないほど抱き締めなくても、わたしはあなたを離れない。
あなたの瞳が大好きよ。
いつもどんなときも見つめてくれる、優しいその瞳が大好き。
そんなに熱く見つめられると、わたしは溶けてしまいそうなの。
――だけど、もしも
もしもの話なのだけれど、
あなたがその全てをなくしたとしても
わたしはあなたが大好きよ。
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