比重
ぼくは、守る為にここにいる。
ぼくの力は、ぼくの為にある。
ぼくの守りたいものを、守る為にある。
――きみが、好きだ。
妻よりも好きだ。
娘よりも好きだ。
長よりも好きだ。
村よりも好きだ。
過去に存在した全てのものよりも、
未来に想定する全てのものよりも、
今ここから繋がる世界の全てよりも、
ぼくはきみが好きだ。
だからぼくはきみを守るよ。
きみを傷つける、全てのものから守るよ。
ぼくにとって正しいのは、全てきみなんだから。
きみを傷つけるなら、妻子なんかもいらない。
村がきみを排除するなら、ぼくが村を潰してしまおう。
世界がきみに罪を問うなら、一人残らず殺してしまおう。
きみと二人きりになれたなら、
もう誰もきみを傷つけたりはしないだろう。
ぼくはきみを守る為、生まれて生きているんだから
きみは永久にぼくの傍にいるんだよ。
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