*用語詞典*

基本的にネタばれあるけど気にしないで下さいな、という方向で。

第一話

*施太后/せたいこう(人名)*
 先帝凋宗の皇后。
 先帝の遺児、千葉樹の擁立に全力を尽くす。
 当年十七、手段を選んでいられないお年頃。

*皇太后/こうたいごう(官職名)*
 先帝の皇后に与えられる称号。 
 新帝が幼弱の際には、しばしば摂政となる。 
 多くの場合、官僚の頭痛の種。 

*神武門/じんむもん(固有名詞)*
 皇城の北門。いわゆる裏門。 
 宦官の通用門としても使用される。 
 やましい事情で入内した皇妃の代名詞でもある。 

*杜淕/とりく(人名)*
 官職は左宰相・直隷天津府総督・津軍提督等。
 要するに今国内で一番権力がある人。
 当年五十五、そろそろ体力の限界を感じるお年頃。

*左宰相/ささいしょう(官職名)*
 左右ある宰相職の一つ。従一品だったっけ。 
 右宰相の方が権力はあるが、現在は空位。 
 従って、本来ならば怖いものなしの役職。 

*直隷総督/ちょくれいそうとく(官職名)*
 京師周辺の政府直轄地を統治する官。正二品くらい。 
 税収等は政府の管轄下に置かれている為、 
 国の金でやりたい放題できるともいう。 

*津軍/しんぐん(組織名)*
 杜淕が秘密裏に組織している洋式軍隊。 
 大砲等の火器の扱いに長けているのが最大の特徴。 
 但し都から遠く、作中では活躍の機会がないのが欠点。 


第二話

*千葉樹/せんようじゅ(人名)*
 先帝凋宗の遺児。生母は高宝林(故人)。
 施太后と杜宰相の後ろ楯で即位を目指す。
 当年五、母親が大好きなお年頃。

*皇太子/こうたいし(役職名)*
 次代の皇帝という公認を取り付けている皇子。 
 原則として、皇統の男児ならば誰にでも可能性はある。 
 これに決まれば目下安泰なので、みんなの憧れの役職。 

*杜漣/とれん(人名)*
 杜淕の嫡男。生母は第二夫人梅児(故人)。
 千葉樹の学友として見込まれている。
 当年五、外にちょっと興味が湧いてきたお年頃。

*科挙/かきょ(行政行事名)*
 基本的に国内の全男児を正員とする官吏登用試験。 
 極めて難関だが、合格すると立身出世が約束される。 
 親の七光りを阻止する画期的な官吏登用方。 

*許條暢/ほじょうよう(人名)*
 山西遥陽の票局頭目。
 千葉樹擁立派に協力を誓う。
 当年三十九、嫁の来手がないことを諦めつつあるお年頃。

*幇/ほう(一般名詞)*
 特定の商工業者の相互協力会。 
 自警団として、他の組織に雇われることもある。 
 いわゆるやくざ。或いはマフィア。 

*斐荼威/はいとい(人名)*
 翰林院大学士、従って皇太子傳。要するに千葉樹の爺や。
 本名はヴァレンティーノ・フェッラーリ=トレカーテ
 当年七十八、世界中の女性の恋人を自負するお年頃。

*瀬戸拉安/せとらあん(人名)*
 先年の状元であり、翰林院編集。斐の腰巾着。
 興奮すると舶来の拳銃を振り回す物騒な文人。
 当年二十三、そろそろ男色の噂を打ち消したいお年頃。

*翰林院/かんりんいん(機関名)*
 皇帝直属の研究・教育機関。 
 歴史書等の編纂も行う、歴史ヲタの巣窟。 
 従って行政面での実権はほとんどない。 

*大学士/だいがくし(役職名)*
 翰林院の長官。正一官で、官位上は宰相より上。 
 ほとんど名誉職で、本に埋もれるのが仕事。 
 皇太子傳(教育係)を兼任するのが慣例となっている。 

*葉夫人/しょうふじん(人名)*
 杜淕の正夫人。「よう」ではなく「しょう」と読む。
 杜淕との間には三女をもうけているが、既に全員嫁いでいる。
 当年五十三、愛憎劇を隠し撮りしたいお年頃。

*茶/ちゃ(一般名詞)*
 ツバキ科カメリア・シネンシスの葉を加工した嗜好品。 
 湯で成分を抽出して飲用する。健康によいと言われる。 
 葉夫人の必殺アイテム(ホーミング機能つき)。 


第三話

*菅智明/かんちめい(人名)*
 後宮の警備を司る練兵処士官。いわゆる近衛兵。
 武科挙で抜擢された生え抜き軍人で、弓を得意とする。
 当年三十二、「すがともあき」ではないと主張したいお年頃。

*練兵処/れんぺいしょ(役所名)*
 皇城の警備を主に司る役職。 
 皇帝或いは皇太后の私兵となることもある。 
 武科挙の生員が主に構成し、叩き上げに苛められることが多い。 


第四話

*禹埜/うの(人名)*
 二品花[令羽]都領侍禹埜。または後宮の古狸。
 要するに施太后の後方支援を担う宦官組織の親玉。
 当年六十八、タヌキ爺ィと呼ばれるのが快感なお年頃。

*沙埜/さの(人名)*
 三品御前総監太監。または施太后の忠犬。
 施太后と斐学士を敬愛し、提琴をこよなく愛する風流派。
 当年十四、好みのタイプは年上の女性だと悟ったお年頃。

*宦官/かんがん(一般名詞)*
 後宮で職務に従事する、去勢された男性奴隷集団。 
 太監という美称で呼ばれることを好み、半妖と呼ばれると怒る。 
 ある意味、男と女の一番怖いところを備えているともいえる。 

*高嬪妃/こうひんひ(人名)*
 先帝凋宗の愛妃、千葉樹の生母。
 西域の没落した商家だった高氏の出。
 享年二十六、薄倖と呼ばれるに相応しい生涯だったお年頃。

*寵妃/ちょうひ(一般名詞)*
 皇帝の寵愛深い妃のこと。なぜか身分が低いのはセオリー。 
 権勢を奮える一方、周囲の嫉妬等のリスクもある諸刃の剣。 
 愛情すら駆引きの道具にされる、皇帝の心中いかばかりか。 

*Tarocco/タロッコ(外来語)*
 西洋の卜占で用いられる牌。 
 錬金術師と魔女を両親に持つ斐荼威の必殺武器(貫通レーザー)。 
 施太后に「女帝」の卦を出す程度の的中能力を持つ。 


第五話

*姦通/かんつう(一般名詞)*
 婚外関係にある男女の性的交渉。 
 しばしば身の破滅を招くが、それでもやっちゃうほど面白いらしい。 
 だが、実際にやるよりは、知人がやるのを見る方が面白いらしい。 


第六話

*張産/ちょうさん(人名)*
 前朝最後の宰相にして大将軍。
 国内で頻発する内乱を鎮圧中に戦死した。
 享年六十二、国を守る為に降りる訳にはいかなかったお年頃。

*楊太后/ようたいこう(人名)*
 前朝の末代皇帝の生母。
 幼少の皇帝に代わり長く政権を握るも、息子に疎まれ毒殺された。
 享年五十九、平穏な女としての幸福を掴みたかったお年頃。

*内乱/ないらん(一般名詞)*
 国内で対立する派閥同士が行う武力衝突。 
 その隙に外敵が侵入すると国家が崩壊することもある。 
 政府にとって、最高権力者の気紛れと同じくらい怖いもの。 


第七話

*漂楓樹/ひょうふうじゅ(人名)*
 先帝凋宗(ちょうそう)の幼名。
 千葉樹の父、施太后と高嬪妃の夫。
 享年三十、身分が違えば幸せになれたかもしれないお年頃。

*皇帝/こうてい(役職名)*
 多民族国家における元首。国家の最高権力者。 
 個人の資質が国家の命運に直結する。 
 権力を吸収された皇帝ほど哀れで惨めなものはない。 

*風邪/かぜ(一般名詞)*
 流行性感冒。万病の元とも呼ばれる伝染病。 
 冬期に流行することが多く、夏に引くと「バカ」と罵られる。 
 ラブコメの必須アイテム。 


*女性名/じょせいめい(補足事項)*
 女性の幼名は史書に記録されることが稀で、滅多に残らない。 
 また生家の姓で呼ばれることが一般的。 
 従って基本的に女性キャラは全員姓のみの表記とする。