*作品簡介*



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 女性は、ある一人の男の腕に抱かれて萎れていくために、自然からあらゆる魅力を授かっているわけではない。物質の原理はあらゆる制約をもはねつけ、あらゆる束縛をも憎み、性のどんな排他性をも神に対する冒涜と見なす。婚姻それ自体がヘテーリッシュな慣習と抱き合わせで現象しているような、そうしたあらゆる風習は、そこから明らかとなるのである

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 こんばんは、はじめまして、或いはお久し振りです。『非因果的連結』のかとりせんこ。です。

 今作『花冠の皇后』は、連作長編『Dreaming』の番外編です。
 ……が、他の作品同様、本編大筋の物語とはさっぱり関係のない話なので、本編未読の方にもお読み頂けたらと思います。カテゴリは歴史ラブコメです。あくまでもラブコメです。どこら辺がラブでどこら辺がコメディなのか突っ込んではいけません。とりあえずラブコメなんです。
 ちなみに、渡来亜輝彦さんによるWパロディ(?)『踊る宰相』ともコラボしておりますので、ぜひ併せてお読み下さい。というか、あちらを読むついでにこちらにもちらっと目を通して頂けたら非常に嬉しいところ(笑)。あちらはもっと明るくて爽快感があるお話です。

 またこの物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・国家等には一切関係ありません。一応明清時代の中国をイメージしてはいますが、ファンタジーなので実際の歴史との齟齬等に関してはご容赦下さい。あと作者の浅学や思い違いと思われる箇所に関しては、こっそりご指摘頂けたら幸いです。またこの物語には、現在では差別用語に当たる語句や不快感を与える可能性のある記述もあるかもしれませんが、作品の時代背景などを考慮しそのままとしています。

 長々と無粋なことを失礼致しました。
 それでは、少しでもお楽しみ頂けることを祈って。

かとりせんこ。拝  



※引用はJ.J.バッハオーフェン著/岡道男・河上倫逸監訳『母権論』第一巻(みすず書房・1991年)pp.31より。
 中国母権制に関するK元教授の飲み会での延長講義がなければこの話はありませんでした。敬意を表し。