モクジ

あとがき代わりに20の質問

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1   この小説を書き終えた、今現在の心境を一言で簡潔に言い表してください。
えっと……ほ、本当に終わったのですよね。
うん、完って書いたし、本当に終わったのよね!
ものすっごく自分で自分を疑ってます、マジ。

2   この小説を書く上で、一番書きやすかったところはどこですか?
えっと……どこも相当厳しかったんですが、思えばロニーと紅凰はどれだけ遠距離においてもいつもお互いいちゃいちゃいちゃいちゃしっぱなしで、他の奴等に比べると激しく書き易かったように思います。
後、劉公主はごめん、凄い書いてて楽しかった……この三人のシーンはほとんどスランプ知らずでした。

3   この小説を書く上で、一番苦労したところはどこですか?
双子。もうフォント特大にしておきたいくらい双子で難航しました。二人合わせたら二年近く止めてたんじゃないかこいつら。

でも精神的に一番辛かったのは、小説の内容と現実がリンクしていってしまうところでした。時事的なテーマを扱ってるし、仕方がないと言えば仕方がないんですが……でも現実のテロや戦争や拉致問題との位置関係には、物凄く悩んだし苦労させられました。北●鮮がいつ体制崩壊するかで怯えていた日々も、もう今は昔のことね……。

4   ボツにしたタイトル、仮タイトル、執筆中のコードネームなどありましたら教えてください。
いきなりこのタイトルだったんで特にはありませんが……コードネームではないですが、執筆中は一話ごとにファイルを別々に作っていたのですが、その頭に二桁の分類番号を振っていました。第一部が11〜17までだったんで、これは21から始めたのですが……最終的には桁を振り切って41まで行きました。ちなみに番外編は90番代だったのですが、こっちも桁を振り切ってしまったので、三桁にしておけばよかったと後になって後悔しました。

あと、章ごとのタイトルとしては当初は以下のように考えていました。何か多いけど、この際だから許して。
  第一夜  モノクロームの少女(無彩色的小姐)
  第二夜  そして、色の悪い写真(于是、不鮮的照片)
  第三夜  空へ(往空)
  第四夜  再会(再看見)
  第五夜  皇帝の目(龍目)
  第六夜  劫火(劫火)
  第七夜  マダム・イーグル(海東青夫人)
  第八夜  嵐(嵐)
  第九夜  砂色の髪(砂色的頭髪)
  第十夜  草の根(民草)
  第十一夜 テロリスト拘束(過激分子捕捉)
  第十二夜 日蝕(日蝕)
  第十三夜 天子(1)Son of heaven
  第十四夜 天子(2)Daughter of heaven
  満月   天子(3)Heaven's children 
これだと内容には忠実だけど、タイトル見ただけで内容わかっちゃうよね。

5   タイトルの由来(意味)は何ですか?
シェークスピアの戯曲(そのまんま)。
自分の夢が元ネタなので(もう原型はほとんど留めてないのですが)、夢つながりでつけました。ちなみに第一部のはアボリジニの絵物語から。

6   この小説を書き始めるきっかけはなんでしたか?
夢、ですね。寝てたらこんな夢見たの。

7   この小説を書く上で、何か影響を受けたもの(他の作品や、他媒体の創作物など)はありますか?
色々影響は受けたけど、多分一番影響を受けたのは9・11の同時多発テロです……この時点で第八夜まで実は書いていたのですが、その後の展開を大きく変えました。今だから言えますが、本当はもう小説なんて書けないかとすら思うほど当時は落ち込んでいました。

8   これがあったから、この話がかけました!(これがなかったら、かけませんでした!)というものはありますか。
月並みですが、ずっと読んでやって下さってた方々の感想と励ましとその他諸々のメールですね! 連載当初からお付き合い下さってる方が、もう何年も更新を止めているにも関わらず「再読しました」とか「読みました」とメール下さったり、落ち込んでるときに励まして下さったりして……それがなければ間違いなくこれは完成しませんでした。

9   ボツにしたストーリー展開を教えてください。
……教えてもいいんですか?
凄いですよ本当に凄いので以下反転。

おおまかな原案双子編。
 ・大花と秀漢くんは普通に敵同士で、平壌で対峙。
 ・小娘相手に全力上げて秀漢くんが追い掛けるので、大花絶体絶命の大ピンチ。
 ・それを知った小魚inソウル、走れメロスよろしくマラソンで援護に向かったりする。
 ・んで、秀漢くんの張っていた旧国境線の防衛線で無念の蜂の巣(え)。
 ・双子のミラクルにより小魚討死を知った大花、マジギレして武器倉庫に立てこもり。
 ・無論官軍に囲まれて、「あんた達皆、地獄で下僕にしてあげる」という迷言を残し、火薬にお店のマッチで放火。
 ・大花秀漢以下略全員爆死。むしろ平壌壊滅。

おおまかな原案DB編。
 ・ロニーが死んだのを知ってキレたベル、民衆を率いる自由の女神の如くクーデター開始。後ろで操る劉公主。
 ・勢い余って一般市民も容赦なく巻き添え。って言うかもはや王蟲の暴走。
 ・まだ良心の残ってた甫民先生と一緒に、現場に駆けつけたデイビー、ナウシカのように止めてみようとするけど、どっちかと言えば武田徹也に激しく近い感じ@僕は死にましぇーん
 ・光玉と蟲笛でようやく我に帰ったベル、騒動を鎮静化させようとするも既に遅し。
 ・むしろ立ち止まったリーダーに用はないと、劉公主がうっかり暴走してベルを撃っちゃった!
 ・身代わりにデイビーが撃たれたー!

あと他にはー……え、やめてくれって? 仕方ないなぁ……怖い話ですが、本当に当初はこうするつもり満々だったのですよ……。

10   プロット(思惑)どおりに進みましたか?
進んでたらこんなに時間は掛からなかった……。
むしろ現実のニュースに手心を加えて欲しかったです。

11   これが書きたくてこの話を書きました、という部分はどういうものですか?
始めは、竜血樹の死に様を書いてやりたかったのです。と言うより、彼をアンハッピーエンドで終わらせたくはなかったのでした。
紅凰と再会させてやれたら一番の救いだったんだろうけど、そうしてしまうと物語そのものの骨子が破綻してしまうので……作者的にはまだ死んでもらっちゃ困る人物だったのだけど、一人の男としては死に時死に場所を失ってこの上なく惨めな思いを味わってた訳ですから、どうにか悲惨な彼の人生をきっちり片付けてやりたかったんです。死が、実は至上の不幸ではなくて、人生の幸福の集大成なんだということを身内の葬儀に何度か参列する内に痛感して、結果的にこんな形になったのでした。納得のいかなかった方は、本当にすみません。

12   一番こだわったところはどこですか?
色々妙なこだわりはありますが……何だかんだ言ってあの話、外国が舞台になっているのですよ。で、見た目も生活水準もかなり現代日本と似てはいるものの、結構精神的な深層においては大きな違いがある訳です。私自身完全に把握なんて出来ていないのですが、それでも自分が知っている部分は、出来るだけ私達日本人が読んでも違和感を感じないように工夫して書いたつもりです。
具体的には、火葬に対する甫民やベルの心理的抵抗とか、中華皇帝の天思想とか。官邸炎上シーンの禍々しさや、ロニーの無限ループな鬱思考は本当はそう言う意図だったのですが……ごめんなさい物凄い力不足でした。

後、小説の形式が形式だけにどうしても大団円のハッピーエンド! は難しかったのですが、それでも創作であるからにはある程度の救いが欲しいなあとは思っていました。と言う訳で、多分全員「一番の不幸」だけは免れられているんじゃないかと思うのですが……どう?

13   一番好きなキャラクターと、一番嫌いなキャラクターを、理由つきで教えてください。
好きな、と言われると悩みます。現実にいたら秀漢くんは物凄く好みだろうなー……後、紅凰は書き易いし癒されるし優しいし、大好きですね★

嫌いな、と言われても……自分で作った人物は、何だかんだ言って皆可愛いです。しいて言うなら総統とか(出てないし)。弓書記官は、嫌いじゃないですよ。傍から見てるだけなら馬鹿で楽しい。

14   実際にいたら嬉しいキャラクターと、実際にいたら厭なキャラクターを教えてください。
嬉しいのは紅凰と秀漢くんと全楊警備兵コンビ、嫌なのはいっぱいいるけど特に劉公主と弓書記官と甫民先生。
って言うか、直接命に関わりそうな危険人物多すぎです、うちの小説。

15   この人にはこの言葉を言わせたかった!という台詞をキャラ別にどうぞ(実際に言わせていなくてもOK)。
うろおぼえですが、主役から順番に。
ベル:「あいつを助ける為に、あたしはここにいるのよ」
どの場面で言わせるかは迷ったのですが、これだけは言わせたかったのです。
デイビー:「レディーにとって俺が必要なくても、レディーの人生には俺が必要だ」
生き残らせようと決めたとき、はじめに思いついたのがこの台詞でした。
大花:「あんた達皆、地獄で下僕にしてあげる」
あのエピソードを没にしてよかったと思う反面、これを言わせられなかったのが何より無念。
小魚:「人として正当な権利なら、正当に要求しなければならないんだ」
彼を死なせない為にはどうしたらいいかと考えてるときに、思いついた台詞でした。
ロニー:「迎えに、行くから」
後、「魂だけなら万里を駆ける」と言うのもありましたが、あまりに気障なので没。
この台詞、本当は物語全体のキーワードになるはずだったのですが……皆大人しくお迎えを待ってなかったね。
紅凰:「こんなことになるとわかっていたら、唄ってあげたらよかった。誰よりもこの声を愛してくれたあの人に」
四季の歌の冬の下りを唄う場面は、「葩夭」のときからずっと書きたかったのでした。
あのエピソード自体は、凄く早い時期に思いついたはずです、確か。
劉公主:「知らないのなら教えてあげましょう――これを『革命』と呼ぶのですよ」
どうやって言わせようか、物凄く悩んだのです。言わせられてよかったー……。
甫民:「――どうしてこんなに安らかなお顔をしておいでなのでしょう」
ロニーの死を、できるだけ惨くはしたくなかったので、この台詞は欠かせなかったのでした。
弓書記官:「光がなくなれば、闇が世界を支配できると思っていた。光がなくなれば、闇も存在することが出来ない――ただ混沌だけになるということを、知らなかった」
創作メモからの抜粋ですが。本文では、もっと意訳したこと喋ってます。
ドラマ「愛し君へ」の原作『解夏』で、主人公と同病で失明した人が語っていた「目が見えないと暗いこともわからない」という言葉が、とても印象的だったのです。
全大佐:「軍人が、武器を手にする意味を忘れるな」
アフガン空爆から少し経った頃に書いたシーンです、確かこの辺り。

16   この小説の登場人物たちを使って、別の話を書く予定はありますか?
って言うかシリーズだしね。
番外もまだまだいっぱい書くことになると思いますよ〜。

17   この小説の中でこの部分が一番会心の出来なのです! というシーン(か台詞)を抜粋してください。
実は第五夜の古本屋のシーンと、劉公主と熱帯魚のシーンはかなり会心なのです。
後、死んだロニーに対して紅凰が唄うシーンは比較的さらっと書いた割には、色々思い入れが深いです。

18   この小説で取り上げたテーマやアイデアに、もう一度別の形で挑戦してみたいですか?
何度でも。人生のテーマですとも。
目を反らしたいけど、反らしてはならないのです。頑張れオレ。

19   何か、これだけはしておきたい言い訳というのはありますか?(笑)
……9・11より、うちの方が先ですから!(え)

20   最後に一言どうぞ!
何だか本当に終わったんだなーとようやくじわじわ思えてきました……
随分長い語りにつきあわせてしまって、申し訳ありません。
ともあれ、ここまでお付き合い本当にありがとうございました!!!




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